2011年3月29日火曜日

今でも進化し続ける方程式系

研究に関連して,かなり新しい論文をひとつ読んだ。

Paul J. Dellar, 2011: Variations on a beta-plane: derivation on non-traditional beta-plane equations from Hamilton's principle on a sphere. J. Fluid Mech., DOI: 10.1017/S0022112010006464 Published online: 14 Mar 2011


内容をざっくりまとめるなら,
1.Hamiltonの原理から,力学的に一貫したβ面方程式系を導いた。
2.従来のものと異なり,緯度変化も考慮したnon-traditionalコリオリ項を含んでいる。
3.近似により,様々なタイプのβ面方程式系を作った。
といったところだろう。


自分の研究では赤道β面方程式系を用いているが,緯度変化を考慮しないnon-traditionalコリオリ項を含んでいる。この論文によると,緯度変化を示す項のみを含ませるのではなく,traditionalコリオリ項にもz依存のファクターをかける必要がある。また,単純にテイラー展開で緯度変化を表現してはいけない。non-traditionalコリオリ項の緯度変化を考慮しなければならないときには参考にしたい。


力学的一貫性(エネルギー,角運動量,渦位の保存性)については,truncated Lagrangianの対称性によってNoetherの定理を適用することで保証している。




このように,現在でも気象の基礎方程式系は進化している。自分も気象学を進化させる論文を目指して研究を頑張ろう。


注)内容の解釈は完全でない可能性があります。

卒業式・謝恩会を終えて,研究の日々へ。

3月24日,理学部を卒業した。
学部4年間を振り返ると,こうしておくべきだったと悔やまれることが多くある。

まずは,田島寮での生活。自分は明らかに「寮生らしく」なかった。
寮ではたくさんの行事があり,みんなそれに熱中し,楽しんでいた。僕も最初の頃はバカなことばかりして楽しかったが,途中から行事に熱くなれなくなった。それで沢山の人に不快な思いをさせたかもしれない。少なくとも邪魔はしていないが。そんな生活に心苦しさを覚えて1年半住んだ寮を去った。

もっと積極的に楽しむべきだった。

2つ目は,4年間お世話になったバンドサークル,Be-Rock。これも田島寮でのそれと同じような後悔が残る。
Be-Rockは基本的に皆が皆のためにそれぞれの仕事をしてライブをする。そんな中で,自分が選んだ仕事がうまくできず(難しかった),次第に仕事を避けるようになってしまった。こうなってしまってからサークルに顔を出すのが億劫になってきた。初めのころはバンドでギター弾くのが楽しくてたまらなかったし,部会で人に会うのがうれしかった。今でもそうだが,それより仕事を避けたい気持ちが大きくなってしまっていた。このことはほんとに後悔している。

もっと仕事を素直に受け入れ,最大限の努力をすべきだった。


2つとも「もっと素直になる」という目標に帰着すると考えている。これらの後悔が今後の自分を成長させたと思えるよう,もっと素直になろう。


他にも後悔はあるが,成功した面も当然ある。細かく考えれば多々あるが,一つ挙げるとすれば,研究生活だろう。
学部3年生までは勉強を必死にしていたが,それがどこで生きてくるかなどわからなかった。明らかに気象に役立ちそうなものは気合を入れて学んだが,ほかの授業についてはなんの役に立つか疑問に思いながら学んだ。

その答えは研究室にあった。今までそれとなく学んでいたことが,突然必要になったりする。その都度勉強しなおし,一つひとつ自分のものにする。そうして次のステップへ進む。これを繰り返していくうちに,今までと学ぶことに対する考え方が変わった。

受動的ではなく,能動的な勉強。何かをしたいからあるものを自分で学ぶ。これは昔から先生に言われていた気がするが,正しくわかったのは大学を終える今だ。研究して,その都度学び,さらに研究していく。これを楽しいと思わせてくれたのは,先輩であり,同級生であり,先生だ。みんなよき仲間であり,常にライバル。周囲の人の存在をありがたく感じながら,これからの大学院生活を毎日過ごしていこう。

周囲の人は皆仲間でありライバル。この意識が自分を成長させてくれる。

2011年3月23日水曜日

幹事をすることで

今年度の学科謝恩会の幹事。
いよいよ明日がその当日。

大変だった,今でもまだ追われてる。もう少し手際よく早めに始めるべきだったのは一つの反省点。

何が一番大変だったかというと,「人に仕事を振り分けること」だろう。
すべて自分でやろうとしていた。人にさせるよりも自分がしたほうが早いと思ったし,人にさせるのが申し訳なかった。…この考え方が自分を追いつめた。

最近見る夢は毎晩悪夢。追いかけられ,人が亡くなり,叫び泣く。突然目が覚める。

たぶん,やらなきゃいけないことが山ほどあると変な夢を見るのだろう。そう思って,今では人にある程度任せるようにした。そしたら,周りにたくさんの人がいることに気付いた。今までの自分が馬鹿らしく思えるほどに。

幹事を今回やってきてよかったと考えれるのは,「周りの人の存在に気付けた」ことだ。当然今まで知らなかったわけではない。ただ,自分が想像していたより,自分はみんなに頼れていなかった。

明日はみんなで謝恩会を作る。みんなに頼ろう。それでまた成長できる。

2011年3月21日月曜日

似ている研究

 自分がしている研究のキーワードを,いくつか論文検索してみた。

海洋の分野では最近盛んに研究されているのか?と思わせる論文がちらほら。
1.Lucas and Rousseau 2009
・海洋におけるnontraditional Coriolis項の影響を定量的に調査した。
・時間発展問題で解いて,時間平均した流線を見ることで影響を確認して,地形の影響を除く場合に10%ほどの影響,地形がある場合に数%の影響があった。
・準静力学モデルの使用を薦めている。

大気の分野でも意識している人はいるみたい。
2.Paul E. Roundy 20xx
・非弾性モデルに波型を与え,解析的に解いた。
・観測データの解析結果とモデルに適当な数値を与えた場合の結果とを比較した。
・解析解から,nontraditional Coriolis項により赤道波の位相が数%ずれることを示した。
・条件が非常に多く,さらに時間発展的には解けないという欠点がある。

前者のような分野の違う論文は参考にしていきたい。他にも,meso-scale現象における影響はこれまでに多く調べられているはずなので,そちらも参考にしたい。
後者については少し複雑な心境である。自分より先に示されては困るといった意味だが,現実を受け止めてしっかり読まなければならない。幸い,自分の研究とは性格は違うようだ。

今後も自分の研究をしっかり見つめて,深く論理的に突き詰め,さらには自身の研究に関する論文を執筆したい。そんな意欲がわいた一日だった。

What can I do to be big?

Bigになるためには何をすればいいんだろう?

すぐになれれば苦労はしない。だから毎日を積み重ねる。
何も考えない,「無駄な日」くらいあってもいい。
「後悔される日」を一日でも少なくしよう。
そんな毎日を続けることで,Bigに近づける気がする。