2011年5月23日月曜日

感じた嬉しさと見えてきた課題

2011年5月21日,気象学会春季大会にてポスター発表を行なった。感じたことをまとめてみる。


1.発表に興味をもっていただけた嬉しさ

まず,気象庁数値予報課の方をはじめとして多くの人が自分の研究テーマに興味をもってくれたことに驚きと嬉しさを覚えた。学会が始まるまでは自分の研究はマニアックで,力学が多少複雑なためにあまり多くの方が興味を示すとは思っていなかった。むしろ,ポスター発表してもあまり人が集まらないのではないかと不安ばかり募っていた。怖くて眠れず,夜中に五反田を徘徊するくらいだったし,僕としては最上級の緊張だと思う。

当日の朝ポスターを貼っても緊張は止まらず,いつものごとく手が痺れた。緊張するといつも手がしびれる。ポスター会場を後にし,口頭発表を聞きに会場へ向かった。やはり発表が頭に入ってこないので,一時間早いが10時半にはポスター会場に移動して一人頭の中で練習をした。それすら頭に入っていない気がしたが,ひたすら資料に目を通し続けた。先輩と会場前で会ったときに,「覇気がない顔だね」と指摘されて少し正常を取り戻した気はする。

少し疲れたので11時に自分のポスターの前に行ってみた。すると,もう人が3人ほど立っている。心の準備はできていなかったが,「説明いたしましょうか」と声をかけた。「はい」と言われた。この瞬間が気象学会デビューだった。とにかく練習した通りに話し始め,相手が理解できているかを確かめながら結果,考察へと進んだ。完全とは言えないかもしれないが,相手の方が自分の研究について理解してくれて,最後に面白い研究だとコメントしてくれた。終えたときには11時半を回っており,気が付けば会場は人で溢れていた。僕の周りにも人が増えていた。最初の方々が去ったあと,「説明してもらえませんか」と言われた。僕は「はい」と言った。これを4回くらい繰り返したのだろうか。3回目を終えた頃にはA4サイズのミニポスターは全てなくなってしまった。次回は30枚準備しよう。

人が途絶えることなくあっという間に13時を回った。本来なら12時半までのポスター発表で時間をオーバーするまで話し続けることができたことを嬉しく思う。最後に卒業した先輩とその友達が説明を求めてくれた。昼ご飯は諦めた。

後で聞いた話だが,ポスターを聞きに来てくれた方々の中には気象庁のメソモデルを作った方や,気象庁で働いている先輩の上司の方,僕が注目しているテーマに関連する研究をこれまでしてきた方などがいらしたらしい。嬉しい限りだが,その時に知っていればなお良かった。次回からは名刺をつくるかどうかして,お互いに名前を確認するような流れを作ろうと思う。

発表を聞いてくれたたくさんの方々のためにも今後も精一杯努力して,論文投稿や研究発表をしていきたい。



2.自分の理解度の未熟さ

人がたくさん来てくれたら,その分たくさんの質問やアドバイスが流れ込んでくる。自身の研究に対する質問はある程度答えることができたが,最も多かった質問「方程式を解いているときの設定」にはうまく対応できなかった。時間発展問題ではなく,今のところは変数全てに波型を与えて解いている。これでは初めて聞く人にとっては理解できないのだろう。確かにこの手の問題は通例時間発展問題として解くことが多い。だから聞き手は時間発展問題であると思い込んで話を聞いているのかもしれない。あまり波型の話は説明していないのだから,このような人たちは思い込んだまま結果へ移るだろう。そうすると一気に「関係の無い疑問」が生まれ出して,最後には説明についてこなくなる。なので,今後発表するときは問題設定をいかに強調しながら簡潔に説明できるかにも力を入れようと思う。

いただいたアドバイスもたくさんあるが,理解できずにあまり覚えれなかったものがいくらかある。特に,「不安定」という言葉が出てくると全くまともな答えができていない。時間発展問題ではないから不安定にはならないと思うとか,波型が実数だから成長率とは関係ないとか,ある意味適当に流していた。不安定について勉強を始めなければ

ひとつ気になる質問があった。それは「non-traditionalコリオリ項が圧力の位相をずらす効果を持っているといったが,それは実際的にはどういう状況なのか」といった内容だった。彼女はしきりにメモを取りながら聞いていたので,彼女にとってすごく重要な質問だったのだろう。順圧的構造が傾圧的構造になるのだから,物理的に意味があるはずなのだが,はっきりと答えれなかった。明日からはこの点を深く勉強しなくてはならない。今後の課題が見つかったのは良い収穫だ。



3.モチベーション増大

発表を通じて早く論文に出す必要性を感じた。論文にすることで興味を持つ人たちが読んでくれる。より深く理解してもらえたら,より発展的な議論をすることができる。早速今週中には構成を決定して,日本語で書きはじめよう。余談だが,飲み会でタイトルを「true or false?」のように「or」を使って書いたら面白いというアイディアをいただいた。大変面白いが,今回は避けることにしようと思う。

発表以外でもモチベーションが上がったきっかけはある。ほかの人の発表を聞いていて,以前と着眼点が変わったのに気づいた。自分の研究と関わりがあるものを自然と求めて(しまって)いる。今回の学会中にいくつか自分の研究が活かせそうな研究があった気がする。そういったところにも注意しながら研究の意義を増やしていきたい。自分の研究の結果を元にほかの研究者と議論できるようになりたい。




他にも感じたことはたくさんあるが,やはり研究を知ってもらえたことが一番嬉しかったことだ。今後も新しいことを見つけて,どんどん積極的に公表・議論していこう。

2011年5月14日土曜日

人を楽しませるプレゼンをしなければ

自分の発表を聞きに来てくれる人がいるなら,全力でその人に伝えなくてはならない。ただ淡々と伝えるのではなく,相手を楽しませて引き込まなくてはならない。


そのためにはどうしたら良いのだろう?



気象学会春季大会を控えた最後の週末。今回の学会は私にとって初めての全国規模の発表である。ポスター発表で参加するのだが,やはり不安なのは発表を聞きに来てもらえるかというところだ。

以前,学会の聴講に行った際にポスター発表を聞いてくれと必死に足止めされたことがある。それぐらいのガッツは必要かもしれないが,出来ることなら人が集まるような雰囲気を作り出したい。



何が必要だろうか。



最も大切なのは,やはりポスターの第一印象だろう。わかりにくそうで楽しそうに見えないポスターでは人は集まらない。

では,どうしたら印象の良いポスターに仕上がるか?ぱっと見たときに何を調べて何がわかり,その結果がその分野にどんな影響を与えるかがわかれば,興味がある人は集まるのではないだろうか?じっくり見なければ何を書いているのかわからないポスターではせっかくのチャンスを捨ててしまいかねない。

なので,結論は目立つ場所に簡潔に書き,重要性をアピールできる文章となるよう努力しよう。



第一印象だけでは聞いていて飽きて帰ってしまう可能性がある。内容が伴わなければ意味がないのは当然だ。研究の結果を出すのが大事なのは分かっているが,「不運にも」インパクトのある結果ではないこともある。

その場合はどうしたらよいか?

出来ることはただひとつ。話し方を意識して重要性を引き立てるしかない。そのための道具として見やすい図や簡潔なまとめ方も必要となる。できる限界までポスターを美しくし,あとは話すときに相手の理解を確かめながら順序よく説明するのが良いだろう。相手が理解してくれて初めて相手は聞き手として楽しめる。したがって,決してポスターが完成して安心してはならず,説明の練習も必須である。これが無くてはせっかくのポスターも台無しである。

「いかに自分が出した結果に意味があるのか」を伝えるための努力を惜しんではいけない。



あとは本番,清潔感のある身なりでポスターの前に立っておくことだ。それと,自分が楽しそうに発表することも重要なポイントだろう。感情のない発表は退屈だ。


ポスターと自身の第一印象を引き上げて,しっかりとした説明で自分の研究の重要性をアピールし,相手に楽しんでもらおう。