2014年12月29日月曜日

素直に一歩

一歩、踏み出す。
簡単な話で、やろうと思ったそのときに、思ったことを実行すればいい。
それだけの話。



今朝、福岡にある美術館のエレベーターを目の前にして立ち尽くしている女性を見かけた。
出身はわからないが、フランスかどこかの人だと思う。
僕も美術館に入りたくてこの建物に入ったわけだけど、残念なことに、3日前から1週間ほど休館しているみたいだった。
建物の前には大きく「北斎展」と宣伝してあるけど、これが始まるのは5日後だ。
彼女はエレベーターの前に書かれていた日本語の貼紙が読めないようで、目が合ったときに僕に「すみません。」と声をかけてきた。
「Is it closed?
と、不安そうな顔で続けた。
僕は英語をある程度しゃべれるので、張り紙にある内容を伝えた。
「残念だったね、閉まってて。」
というところまで話して、その場を後にした。
そして、なにか「もやっとした気持ち」が残ったまま、うろうろした。


この「もやっとした気持ち」を、僕はよく味わう。


今回の「もやっと」の原因は、残念ながら美術館に行くことができなかった海外から来て一人でいたと思われる彼女に、福岡のほかの名所をいくつか紹介くらいすればよかったな、というもの。

厚かましく「予定が空いたなら、一緒に観光に行こう!」とまでは考えないけど、美術館に行けなかったために空いた時間を別のことで楽しめる程度に、どこかを紹介、オススメだけすれば、彼女はそのあとで福岡を少し楽しめたのではないか。
余計なおせっかいだろうけど、一人で歩きながら、そう思ってしまった。


こういうふうに「もやっと」することが、よくある。


田舎の観光地で、アメリカから来たと思われる外国人二人が少し困っているように見えた。
田舎だから、英語を話せる人は少ないので、観光するうえでわからないことがあって困っていたんだろうと思う。
僕が「お困りでしょうか?」と声をかけてみたら、その二人の悩みは解決したかもしれない。
なのに、声をかけず、自分らだけ観光を楽しんだ。
その帰りに「もやっとした気持ち」が消えなかったけど、もうその二人の姿は見当たらなかった。


友達らと家で飲みながら食事を楽しんでいるときにも、数人が置いてあったギターを弾いてワイワイと楽しんでいる中、「弾いてよ~」と言われたのに適当にはぐらかして弾かなかった。
弾きたい気持ちはあったんだけど、なんとなく、下手に弾きたくないなーとも思っていたから。
もっと気楽にその場で楽しめばいいのに、なぜか「よし、一曲やるか!」となれない。
宴は終わって自宅に帰るわけだが、帰りながら「もやっとした気持ち」が現れ始める。
弾けばもっと楽しかっただろうな、と。


困っていそうな人に自分から声をかけてあげれないことにいらだったり、
どこかに遊びに行ったら思いっきり楽しめばいいのに中途半端な楽しみ方になったり、
買い物に行ってもほしいものを買わずに無駄に時間を過ごしてしまったと後悔したり、
食事に誘われても特に理由もなく断ってしまって後ろめたく感じたり、
すぐにすればいい作業や相談すればいいことでもギリギリまで自分だけで悩んで前に進めなかったり、

毎日のいたるところで「もやっと」を味わい続けている。


「もやっとした気持ち」の多くは、思ったときに素直に行動することで解決されるものだった。
素直に動くだけで「もやっと」しなくなれたはずだった。


こんな気持ちを味わう頻度が増えている気がする。
以前よりも、素直さが足りなくなっている気がする。


この文章を今書き始めたのは、この感情をまとめたいという衝動を「もやっとした気持ち」に変えたくないと思ったからだ。
最近、まとまった文章を書きたいと思うことがあっても、書かなくなっていた。
それが原因でときどき、「もやっと」していた。
不思議なことで、こうやって書いていると、そんな気持ちがすっきりしていく。
素直に書き進めるだけで、自分のこれまでを反省できる。
そして、記録として残る。
この記録を読み返しながら、今後の「もやっと」も減らせる気がする。


素直になろう。
思ったら、動けるなら、動こう。
一歩、踏み出せるときには踏み出そう。
誰のためでもない、自分のために。
難しくて、できないことをするわけじゃない。
やりたことをさっとできるなら、それをするのがいいだろう。

電源欲しさに、いつもは利用しない某カフェに来てみた。
これも「もやっと」解消のため。

2014年9月30日火曜日

MJOに関わる論文をまとめるためのページ

- A List of Investigations on the MJO

MJO (Madden-Julian oscillation,マッデン・ジュリアン振動) とは,活発な積雲群がインド洋から西太平洋の熱帯域を非常に遅い速度(約5 m/s)で東進することで特徴的な,30-60日周期を持つ熱帯季節内変動である.
Madden and Julian (1971, 1972) による発見以来,MJOについての研究は非常に数多くなされてきた.
しかしながら,MJOはなぜ遅く東進するのか,そもそも何者なのか,今でも論争は絶えない.
MJOの議論が終わらないものだから,教科書にもそれらしいことは書いていない.
というか,まだ教科書には書けないレベルのMJOの理解にとどまっている.
(そもそも最新の熱帯大気の良い教科書というのがなかなか無いのだが.)

Chidong Zhang (2005) がMJOについてのレビュー論文を出版した.
しかし,それ以降もMJOの研究は非常に盛んになされており,理論的研究に関する記述は既に古いものにとどまると考えられる.
観測的な理解も,CINDY/DYNAMOや衛星データの利用を始めとしてさらに進んでいる.
また,いくつかの数値モデルで現実的なMJOを表現することに成功したのも最近のことである.
おそらく最も最新のMJOについて情報を詳しく幅広く集めた文献はこれだろう:
Lau and Waliser (2012): Intraseasonal Variability in the Atmosphere-Ocean Climate System, 2nd Ed.
http://link.springer.com/book/10.1007%2F978-3-642-13914-7

本ページでは,主要なMJO研究論文を多くまとめることを目指す.
特に,数値モデルを用いたMJO研究についてまとめる.
さて,今のMJOの研究はいったいどういう方向に進んでいるんだろうか?


個人的に,MJOの研究で問題なのは
  1. MJOはなぜ遅く東進するのか
  2. はたしてMJOは波なのか
  3. なぜMJOのモデルシミュレーションが困難なのか
だと感じている.


Key words: Madden-Julian oscillation (MJO), slow eastward propagation, moisture mode, wave-CISK, convectively-coupled Kelvin wave, self-aggregation
原則以下のスタイルで記す↓
  著者(年, 雑誌略称): 論文タイトル
  個人的解釈
  URL
  #個人的コメント
注意: 本内容を鵜呑みにしないこと.またリストには個人的趣味が強く反映されていることが考えられる.
(Still Under construction... まだまだ不足.メモを兼ねて暇な時に加筆更新します.)


MJOの遅い東進 - Slow Eastward Propagation

MJOは約5 m/sで暖水域赤道帯を東進する.
同じ東進性の擾乱であるKelvin波と比べて非常に遅い.
対流結合Kelvin波で説明しようとすると,かなり工夫しないと位相速度はここまで遅くならない.
水蒸気モードのような対流として説明しようとすると,平均流や放射,水蒸気の非一様性などに位相速度は強く依存する.
斬新だが,重力波の干渉や,亜熱帯西風赤道側の(中緯度)Rossby波としてMJOの遅い東進を説明しようとする試みもある.
以下のリストをご覧のとおり,2014年現在でもなお,全く議論は終わっていないのである.


Sobel and Maloney (2013, JAS): Moisture Modes and the Eastward Propagation of the MJO
いろんな効果を含めたら,基本場西風で現れる水蒸気モードが(ほぼ停滞だけど)東進.あとは基本場に流される.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-12-0189.1

Sobel and Maloney (2012, JAS): An Idealized Semi-Empirical Framework for Modeling the Madden–Julian Oscillation
基本場に相対的に西進する水蒸気モードが地表と相対的に東進.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-11-0118.1

Pritchard and Bretherton (2014, JAS): Causal Evidence that Rotational Moisture Advection is Critical to the Superparameterized Madden–Julian Oscillation
回転運動による水蒸気移流を意図的に強めたらMJO (水蒸気モード)がより速く東進.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-13-0119.1
#通常のSPCAM (α=1)で現れるMJOの東進は説明されていないのでは?回転運動による水蒸気移流を強めたらMJOがロバストに速く東進するのは分かるけど.他の論文で既に説得的に説明されているのかな?

Maloney et al. (2010, JAMES): Intraseasonal Variability in an Aquaplanet General Circulation Model
CAM w/RASによる水惑星実験で,風-蒸発フィードバック (WISHE)によって不安定化する水蒸気モードが現れ,擾乱と基本場西風によるhumidity偏差の水平移流に伴って5 m/sで東進.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.3894/JAMES.2010.2.5/abstract
#SST南北勾配を弱めた実験の東進擾乱は,なんで南半球,SPCZあたりだけに偏っているんだっけ?モデルで得られる東進擾乱は現実的なMJOではないが,提案するメカニズムは現実のMJOの東進を説明できそうという具合に補足説明されている.

Yoshizaki (2013b, SOLA): Why do Super Clusters and Madden Julian Oscillation Exist over the Equatorial Region?
NICAM水惑星実験でSSTの東西方向の非一様性を与えたら,MJOみたいな遅い東進擾乱が現れた.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sola/8/0/8_0_33/_article

Lau and Peng (1987, JAS): Origin of Low-Frequency (Intraseasonal) Oscillations in the Tropical Atmosphere. Part I: Basic Theory
非断熱加熱によって2つの傾圧モードの鉛直構造が一致し,不安定モードが現れる("mobile" wave-CISK).Kelvin波が選択的に増幅されるので,Kelvin波として東進する.位相速度は与える加熱の鉛直構造および大きさに依存しており,下層で大きいほど遅い.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/1520-0469%281987%29044%3C0950%3AOOLFOI%3E2.0.CO%3B2
#位相速度は対流結合Kelvin波に相当するもの.MJO相当に遅くするためには,不自然なほど加熱のピークが下層にある必要がある.

Bin Wang and Liu (2011, JAS): A Model for Scale Interaction in the Madden–Julian Oscillation
地表摩擦による下層収束によってKelvin波が成長するが,渦による運動量輸送がRossby波を増幅させるので,遅く東進する.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/2011JAS3660.1

Majda and Stechmann (2009, PNAS): The skeleton of tropical intraseasonal oscillations
MJOのような遅い東進モード(MJO "Skeleton")を水蒸気と対流活動度との関係を仮定することで作った.
http://www.pnas.org/content/106/21/8417

Majda and Stechmann (2011, JAS): Nonlinear Dynamics and Regional Variations in the MJO Skeleton
遅く東進するMJO "Skeleton"に"muscle"を与えた.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-11-053.1

Wu (2003, JAS): A Shallow CISK, Deep Equilibrium Mechanism for the Interaction between Large-Scale Convection and Large-Scale Circulations in the Tropics
浅い対流が不安定な場を作り深い対流がたち,それらは浅い対流の等価深度に対応する重力波速度で東進するだろう.
http://journals.ametsoc.org/doi/abstract/10.1175/1520-0469(2003)060%3C0377%3AASCDEM%3E2.0.CO%3B2

Yang and Ingersoll (2013, JAS): Triggered Convection, Gravity Waves, and the MJO: A Shallow-Water Model
重力波の干渉が遅い東進を作り出す.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-12-0255.1

Adames and Wallace (2014, JAS): Three-Dimensional Structure and Evolution of the MJO and Its Relation to the Mean Flow
約28度N/S西風赤道側を導波管として西風と相対的に西へ伝播する惑星規模Rossby波(赤道Rossby波ではない!)が,固体地球と相対的に東進するのがMJOとして現れるのでは.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-13-0254.1


Kerns and Chen (2014, MWR): Equatorial Dry Air Intrusion and Related Synoptic Variability in MJO Initiation during DYNAMO
Rossbyジャイアが西へ離れていくが,その東で異なるジャイアが成長し,包絡線としては東へ伝播する.
http://journals.ametsoc.org/doi/full/10.1175/MWR-D-13-00159.1
#まだ読んでないけど,上記説明は学会のときにChenさんから直接聞いたことで,たぶん本文にそう書いてある(はず).


#まだまだたくさん


MJOは対流であろう - Convection

Bretherton et al. (2005, JAS): An energy-balance analysis of deep convective self-aggregation above uniform SST
観測されるMJOの水蒸気や対流,放射,海面フラックスの相関はself-aggregationシミュレーションのものと類似しており,その対流は(きっと)β面における力学によって東進.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS3614.1
#東進メカニズムについては議論されていないが,対流がβ面での力学によって東進するという記述は興味深い.

Raymond and Fuchs (2009, JC): Moisture mode and the Madden-Julian Oscillation
MJOを駆動するのは水蒸気モード不安定である.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/2008JCLI2739.1
#彼らは多くの論文(殆どJAS論文)で水蒸気モードと対流結合重力(Kelvin)波とを区別してきており,その水蒸気モードこそがMJOと考えている.古くからなされてきたwave-CISK関連の議論(MJOは赤道Kelvin波を対流とかRossby波とかで修正したものである)と異なり,MJOは波ではなく,対流を本質としていると主張している.



MJOは波であろう - Wave

Roundy (2012a, JAS): Observed Structure of Convectively Coupled Waves as a Function of Equivalent Depth: Kelvin Waves and the Madden-Julian Oscillation
対流結合したKelvin波の等価深度を浅くしていくと,構造も位相速度もMJOみたいになる.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-12-03.1

Roundy (2012b, JAS): The Spectrum of Convectively Coupled Kelvin Waves and the Madden-Julian Oscillation in Regions of Low-Level Easterly and Westerly Background Flow
MJOと対流結合Kelvin波との間にスペクトルに東風基本場ではギャップがあるが,西風基本場ではギャップはない.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-12-060.1




現実的なMJOシミュレーション - Realistic Simulation

Kuang et al. (2005, GRL): A new approach for 3D cloud-resolving simulations of large-scale atmospheric circulation
雲解像モデルで東西非対称としたらMJOが出たけどまだ調査中.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2004GL021024/abstract
補助資料:http://www.cmmap.org/research/docs/jul05/kuang.pdf
#上記補助資料には,彼らのモデルで現実的なMJOが出たことが記載されている.

Miura et al. (2007, Science): A Madden-Julian Oscillation Event Realistically Simulated by a Global Cloud-Resolving Model
NICAMで現実的なMJOが出現.
http://www.sciencemag.org/content/318/5857/1763

Miyakawa et al. (2014, Nat. Commun.): Madden–Julian Oscillation prediction skill of a new-generation global model demonstrated using a supercomputer
NICAMでMJOの約1ヶ月予測が実現可能であることを実証.
http://www.nature.com/ncomms/2014/140506/ncomms4769/full/ncomms4769.html
プレスリリース: http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20140507/
Supplementary info.: http://www.nature.com/ncomms/2014/140506/ncomms4769/extref/ncomms4769-s1.pdf
#NICAMの54メンバー・アンサンブル平均データが興味深い.Supplemental infoの図5,6において,特にインド洋で,NICAMはロバストな西進シグナルが見えるのが気になる.熱帯低気圧やRossby波みたいな渦擾乱の西進が出過ぎ?

Haertel et al. (2014, QJRMS): Lagrangian overturning and the Madden-Julian Oscillation
対流パラメタリゼーションにLagrangian overturningを用いると現実的なMJOがロバストに得られた.結果はモデル解像度に敏感ではないが,位相速度はSSTに敏感.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/qj.2216/abstract

Genio et al. (2012, JC): The MJO Transition from Shallow to Deep Convection in CloudSat/CALIPSO Data and GISS GCM Simulations
湿った空気をより取り込むように設定するとMJOがGISSモデルでより現実的に現れる.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JCLI-D-11-00384.1

Miura et al. (2012, SOLA): A Comparison of the Madden-Julian Oscillation Simulated by Different Versions of the MIROC Climate Model
湿った空気をより取り込むように設定するとMJOがMIROCモデルでより現実的に現れる.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sola/8/0/8_2012-040/_article


他 - Others

MacRitchie and Roundy (2012, JAS): Potential Vorticity Accumulation Following Atmospheric Kelvin Waves in the Active Convective Region of the MJO.
Kelvin波での活発な対流が渦位を生み出し,Kelvin波が通過したあとで環境場に渦位を残し,それがMJOの渦位の一部となる.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-11-0231.1

Adames and Wallace (2014, JAS): Three-dimensional structure and evolution of the vertical velocity and divergence fields in the MJO.
MJOの3次元構造と鉛直速度および発散の場の時間発展を調査.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-14-0091.1
#未読

Deng et al. (2014, JAS): The MJO in a Coarse-Resolution GCM with a Stochastic Multicloud Parameterization.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-14-0120.1
#未読

2014年7月17日木曜日

nontraditional Coriolis termに関連する論文一覧


nontraditional Coriolis termに関連する論文タイトルおよび著者を書き留めておく.


ざっとまとめるならば,

  • 熱帯での重要性
  • 「近」慣性重力波の存在
  • 対称不安定性の違い
  • 「一般化」される方程式系
といったところだろうか.


新たに見つけたらコメント欄(or内容)に更新します.
新たに見つけた方がいましたら,コメントをお願いいたします.


●最も参考にしている論文.
White and Bromley 1995: Dynamically consistent, quasi-hydrostatic equations for global models with a complete representation of the Coriolis force.
↑"quasi-hydrostatic" equationsを導き,その保存性を証明した論文.スケール解析などにより,熱帯におけるnontraditional Coriolis termの重要性についても議論.

White et al. 2005: Consistent approximate models of the global atmosphere: shallow, deep, hydrostatic, quasi-hydrostatic and non-hydrostatic.
↑様々な方程式系をまとめて議論.


●慣性重力波など,Normal modeについて議論した論文.
Thuburn et al. 2002: Normal modes of deep atmospheres. I: Spherical geometry.

Thuburn et al. 2002: Normal modes of deep atmospheres. II: f –F-plane geometry.

Kasahara 2003: On the nonhydrostatic atmospheric models with inclusion of the horizontal component of the earth’s angular velocity.

Kasahara 2003: The roles of the horizontal component of the earth’s angular velocity in nonhydrostatic linear models.

Kasahara and Gray 2006: Normal modes of an incompressible and stratified fluid model including the vertical and horizontal components of coriolis force.

Kasahara and Gray 2010: Studies of inertio-gravity waves on midlatitude beta-plane without the traditional approximation.

Kasahara 2010: A mechanism of deep-ocean mixing due to near-inertial waves generated by flow over bottom topography.


●方程式系に関する論文.
Grimshaw 1975: A note on the beta-plane approximation.
↑"The importance of the horizontal component of the Coriolis parameter is illustrated for internal gravity waves near a critical level."とアブストラクトあるように,古くからnontraditional Coriolis termの重要性を示唆している.

Dellar and Salmon 2005: Shallow water equations with a complete Coriolis force and topography.
↑「一般的な」浅水方程式系を導いている.それらから現実的な大気のFree modeにはnontraditional Coriolis termがそれほど影響しないことを示唆していると思う.

Dellar 2011: Variations on a beta-plane: derivation of non-traditional beta-plane equations from Hamilton’s principle on a sphere.
↑「一般的な」β面方程式系を導いた.(進化し続ける方程式系に感動した.)

Tort and Dubos 2014: Towards an energy-conserving quasi-hydrostatic deep-atmosphere dynamical core.
http://meetingorganizer.copernicus.org/EGU2014/EGU2014-13322.pdf

●安定性に関する議論がなされた論文.
Stevens 1983: On symmetric stability and instability of zonal mean flows near the equator.

Sun 1994: Unsymmetrical symmetric instability.

Fruman and Shepherd 2008: Symmetric stability of compressible zonal flows on a generalized equatorial beta-plane.

Fruman 2009: NOTES AND CORRESPONDENCE: Equatorially bounded zonally propagating linear waves on a generalized beta-plane.

Itano and Maruyama 2009: NOTES AND CORRESPONDENCE: Symmetric stability of zonal flow under full-component Coriolis force —Effect of the horizontal component of the planetary vorticity—.


●海洋関連の論文.
Gerkema et al. 2008: Geophysical and astrophysical fluid dynamics beyond the traditional approximation.
↑大気についても触れられている.

Stewart and Dellar 2010: The role of the complete Coriolis force in cross-equatorial flow of abyssal ocean currents.

Stewart and Dellar 2010: Multilayer shallow water equations with complete Coriolis force. Part I: Derivation on a non-traditional beta-plane.

Stewart and Dellar 2011: Cross-equatorial flow through an abyssal channel under the complete Coriolis force: 3 Two-dimensional solutions.



(雑誌名は割愛)


追記2012年9月6日

Hayashi, Michiya, Hisanori Itoh, 2012: The Importance of the Nontraditional Coriolis Terms in Large-Scale Motions in the Tropics Forced by Prescribed Cumulus Heating. J. Atmos. Sci., 69, 2699–2716.
http://journals.ametsoc.org/doi/abs/10.1175/JAS-D-11-0334.1

Publishされました(^^)熱帯熱源応答へnontraditional Coriolis項が無視できない大きさで影響するということをスケール解析と数値計算の両面から示しました.


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ご覧になってわかるように,多くの研究が70年代から実は行われている.2000年代になり,その議論は大気・海洋ともに活発化している.静力学から非静力学への移行を考えると,調度良い事実だろう.

実際に文献を読むと分かるが,nontraditional Coriolis termを含めると議論が難解になり,従来の方法では議論を展開できなくなる場合が多い.そこに気象学の発展の余地は大いにあると考えている.

2014年2月23日日曜日

土日になるとふと行きたくなる、筥崎珈琲

このお店に出会って以降、ほぼ毎週、珈琲豆を買いに訪ねてました。
今でも、福岡にいませんが、行く機会あるたびに豆を買いに行ってます。



なんで今でも行けるか?

毎週土日は必ず営業してるって、信じれるから。


何で行きたくなるか?

豆が美味しいだけじゃなくて、ご夫婦とひと目会いたいから。



「筥崎珈琲」は、珈琲豆屋であるだけじゃなく、人と人とを繋ぐ空間。
http://www.cafeivsi.com/hakozaki_coffee/01.html




「筥崎珈琲」
福岡市東区筥松2丁目16-11
TEL・FAX:092-402-7363
OPEN 土・日のみ 10:00~18:30



--
(晃子さん)
「まずは土日だけやってみようかと。
土日だけで何かやってみようというのは、以前から思っていたし。

でね、最初に「やるならば、どんなことがあっても土日は必ずお店をあけよう」と決めたんです。

どんなことがあっても。」
( http://www.cafeivsi.com/hakozaki_coffee/03.html より抜粋)

--
(俊治さん)
「アクションですよね、アクション。
うちの嫁さんの座右の銘は、「やってみてなんぼやろうもん」ですから。」

(晃子さん)
「はははは。」

(俊治さん)
「ここをやり始めたのも、その言葉からスタートだもんね。」
( http://www.cafeivsi.com/hakozaki_coffee/05.html より抜粋)
http://www.cafeivsi.com/hakozaki_coffee/04.html より

http://www.cafeivsi.com/hakozaki_coffee/02.html より

http://www.cafeivsi.com/hakozaki_coffee/01.html
http://www.cafeivsi.com/hakozaki_coffee/02.html
http://www.cafeivsi.com/hakozaki_coffee/03.html
http://www.cafeivsi.com/hakozaki_coffee/04.html
http://www.cafeivsi.com/hakozaki_coffee/05.html

2014年1月17日金曜日

「新」という1年間

2013年が終わり,2014年に突入した.

2013年の1年間,何もかもが変わり,新しくなった.
というわけで,2013年の漢字はこれだ:

「新」


2013年に突入した頃,なにをしていたか.とにかく追われていた.

九大大学院の修士論文を納得できるように仕上げたい.
しかし東大大学院の博士課程の試験がすぐそこに迫ってきている.
2つの獲物を同時に追うのはなかなか苦労を要する.
しかも,両方逃してはいけないという状況で,
プレッシャーというかストレスというか,何かに追われ,戦っていたような.

研究室に居ると研究をしてしまって勉強に手がつかなくなることがあるから,勉強は図書館でやっていた.それを終えて,夕飯食べて,研究室で研究.そんな毎日だった.


せっかくなので,1年間のことをまとめとこうかな.


1月の中頃,東大に試験用修士論文提出の日を翌日に控えた夜は,研究室の床で寝た.
(どうでもいいけど,毛布1枚とリポビタンDのダンボール箱で簡易寝床を作って寝たな.)
翌日,指導教員と議論をしてから提出のはずが,まさかの先生が高熱で寝込んでしまい,電話でなんとかやりとりして,試験用なりに仕上げた.
ちょっと高級な紙に印刷して封筒に入れ,速達郵便で送った.
郵便局の方にもギリギリに出してしまって申し訳ない思いでした.

1月末に東大で筆記試験を受けた.初めて赤門のある東大にやってきた.
東京の道路には1月14日に降ったと思われる雪がまだ多く残っていたのを覚えている.

とても良く出来たと言えないものになってしまったが,なんとか筆記試験の合格をいただくことができ,2月6日に口頭試問を受けに再び東大へ向かった.
確かその日は,「雪が降るのか降らないのか」という談義が空港で行われており,もし羽田に着陸できない場合は大阪に降りますと言われ,時間に間に合わないのではないだろうかと,焦った.結果,雪は降らず,無事羽田に定刻で着陸した.(ちょっとした賭けだったのは,ここだけの話.)

試験会場に着くなり,学会の聴衆よりもここの審査員の方が「豪華」ではなかろうか,という風に感じた.口頭試問を終え,「豪華」な審査員のひとりふたりと議論させていただき,そのあと研究室関連の方々とお話して,試験(+α)の全てを終えた.

試験の合格発表はなかなか遅く,3月6日だったと思う.
郵送で合否の連絡を受けることになっていたので,数日遅れてその知らせが来ると思い,待っていた.そしたら,東大に修士課程から入学していた友達が,「名前があったよ」と突然メールをくれた.自分で初めに確認したかったという気持ちもあったが,ありがたくその連絡を信用させてもらい,親や先生,周囲の人達にお礼を言った.

いままでの生活を離れ,新しい生活を送ることが決定した瞬間だった.

福岡を離れるのにバタバタして,懐かしむ暇がなかったのは,今になって悔やまれる.
それでもたくさんの人に見送ってもらい,嬉しかった.電車の駅まで来てくれた人たち,新幹線まで楽器やキャリーケースを運んでくれた皆さん,ありがとうございました.
新幹線が博多駅を出てから,ぶっちゃけ,しばらく泣きました.なんのために泣いたかわからないけど,とにかく自然に涙が溢れる経験をしたことが殆どなかったから,それで福岡を本当に離れるんだということを実感した.



さて,3月29日には千葉の新居に辿り着いた.荷物が届くのは2日後.
非常に寒かったので,1畳分のカーペットを購入したが,スーツが入った袋を布団にして硬い床の上に寝たので,死ぬほど寒かった.新しい居住地,柏の洗礼をうけた日だった.
なので,翌日はつくばの友達の家へ逃げ込んだ.

4月に入り,入学式もあったが,その前に大学に顔を出し,挨拶して,机とパソコンを頂いた.
大学の学生室の構造の特性上,なかなか九大の時のように温かい感覚はなく,むしろ閑散とした印象だった.これが東大か,と受け止め,研究を進めるための新しい環境を整えた.
何より記憶に残っているのは,4月に入ってまだ5日しか経っていない時に行われた懇親会.
いきなりお酒の席でやらかしてしまい,後輩には申し訳ないことをした.ただし記憶に無いのだけれども.その後は気をつけている(つもり).
入学しました


新しい環境のありかたに慣れはじめながら,どんどん月日は経っていった.
5月には前指導教員の退職記念パーティーのために福岡へ.
パーティーの前夜にも元バイト先の友人たちと食事したりして福岡を楽しんだ.
気象学会を終え,気象庁で講演するきっかけをいただき,6月になってから気象庁を訪ねて研究発表をさせて頂いた.現業を見ている力学好きなひとの助言は非常に有益だった.
そのあと7月にはスイスの学会へ参加.初めて見るスイスの山に感動した.ただ,行きの電車の中でキャリーケースを置き去りにした事件は,なかなかスリリングだった.学会発表後に自分の研究分野の大御所とふたりで多く話せたので,この学会発表は成功だ.

8月に入り,B'zとAerosmithのライブに行ったり,福岡に立ち寄ってまた行きつけの定食屋で唐揚げを食べたりして,
はこざきの唐揚げ.ぶれとる

その後,角島に遊びに行って,そのまま久々の実家へ帰省.なに流星群だったか忘れたが,声を上げるほど大きな流星が出迎えてくれた.8月の終わりに初の沖縄へ.研究会のためだったが,せっかくなので沖縄をひとり満喫してきた.三線を聴きながら飲むのは楽しく,新しい世界が見えた気がした.


さて,9月になると気象夏の学校がまずあった.海洋との合同で,海洋の新しい知り合いを欲していた自分にとって良い機会だった.講演で賞を頂いたが,どうやら飲み会の方の印象が皆さんには残っているようでした(反省).
9月の終わりにはJAMSTECで講演をした.最後の発表で時間が余っていると言われ,たくさん喋りすぎてしまったが,有益なコメントを頂けたし,自分の中では良かったと思っている.

10月は台風セミナーと研究会のために京都へ1週間近く滞在.特に,研究会では大気海洋相互作用に関する新しい知り合いがまた増え,今後に繋がる時間だった.11月に入ってすぐに,再び京都へ.Vallis先生と写真を撮れた.なかなか思い出深い.その後くらいに先輩と旅行へ行き,そのあと気象学会があり,仙台で多くの人とお酒の席でお話を出来て有意義だった.

11月24日には,初めてのつくばマラソン参加.フルマラソン自体は3回目だが,あまりに練習してなさすぎて憂鬱だった.申し込んでしまったものはもったいないと思い,当日一生懸命走った.頑張れば歩かずになんとかゴールできるもので,出てよかったとは思う.ただ,膝の痛みが3週間以上も続いたのは明らかに練習不足のせいだな.
完走直後でふらふら


12月になる頃,九大の学生と旅行へ.懐かしいメンバーと新しいメンバーと時間を共有することが出来,楽しかった.九大はこれからもそういう研究室であってほしいな.

そして12月に入るとすぐ,京都でAdam Sobel氏による講義が4日間にわたって行われた.ちょうど誕生日をはさんでいたので,誕生日プレゼントと思って聞き入った.なかなか熱のある先生で,個人的に色々質問した時に伝わってきたパッションは僕の奥深くに響いた.誕生日は,先輩がプリンとビールで祝ってくれた(結構嬉しかった).

12月の中頃に地元の同窓会があり,10年ぶりくらいに会う人も多く,懐かしい話や新しい話で盛り上がった.わざわざ帰ってよかったと思ってるし,幹事の人達には心から感謝している.

そして12月も終わりに差し掛かり,年末は福岡に立ち寄り,いつものメンバーで飲んだりして,楽しく過ごした.嬉しい事もあった.九大では元指導教員とも多く話した.
そんなこんなで大晦日に福岡を離れ,実家へ帰った.ちなみに,楽しみすぎたのか,大晦日は高熱で寝込み,正月も体調が優れなかった.まだまだ書き足りないが,こんなとこでしょうか.
千葉へ戻るときに見えた富士山.初めて見た.

地元の木造の橋,錦帯橋.





ただの長い遊んだことの覚書みたいになったけど(笑),
2013年は新しい生活,そして新しい出会いが印象深い1年間だった.
慣れない場所で慣れない空間で上手くいかないこともあったけど,良い経験だった.

2014年は,早速,新しい出会いもあったことだし,毎日を大切にしながら過ごしていきたいものだなぁ.
今年は「新」ではなくて,なにか違う印象が残るような1年にしたいな.
努力すべきことも多いので,

「努」

といえる1年にしたい,かな.



本年もよろしくお願いいたします.