2011年9月21日水曜日

研究と出会い

最近はいろいろあった.いろいろあったが,何もまとめていなかった.たくさん旅行して,おもいっきり楽しんだ.オープンキャンパスの幹事を通して,人をまとめることが難しいことを再実感し,克服に向けて本「統率力。」サミュエル・B・バカラック著を買って読んだ.その他いろいろあった.なので,一度最近感じたことを二点の気象関連イベントをピックアップしてまとめておく.



9月4-6日 気象夏の学校2011@愛知

http://rain.hyarc.nagoya-u.ac.jp/ymss2011/


愛知県の東端の施設にて,気象夏の学校に参加しました.今年で二回目.
去年参加したときは学部生,今年は大学院生.研究もしているわけで,自然と目的は「友達作り→研究紹介」へとシフトしていた.

幸い,今年は口頭発表で申し込んでいたので,研究に関して多くの学生に話を聞いてもらえた.この春の気象学会でポスター発表したが,その時より多くの人が聞いているわけだから,研究を広めるにはもってこいの場所だと思った.

というわけなので,発表内容を「研究結果と考察」重視→「研究のモチベーションと"nontraditional" Coriolis項の意味」重視へと切り替えた.その結果,研究の結果に関する考察を十分話すことは出来なかったが,あまり有名ではない"nontraditional" Coriolis項という言葉を知ってもらうことができた.もっと効率よく話を進めれば自分の成果も最後まで話せたかもしれないが,知ってもらえたのが何より重要.今後の研究発表で,その項が何者なのか知っていて,興味を持って聞いていただけたならどれだけ嬉しいことか.発表がHPに保存されるらしいが,音声資料は正直恥ずかしい.もっと練習を繰り返して発表するべきだった.今後に活かすべき反省点である.

さらに研究を普及させるためにfacebookにそのページを作った.まだ発達前ではあるが,利用できるかぎり利用していきたい.また,発信することで自分の理解を確かめ,さらに議論することで深めることができるはずである.それを信じて,時間があるときに有意義なページへと進化させる.
http://www.facebook.com/pages/Studies-on-nontraditional-Coriolis-terms/245162775527331?sk=info
もともと研究室HPにも書いてあるので,これも充実させなくては.
http://weather.geo.kyushu-u.ac.jp/~m-hayashi/index.html

研究に関することだけが得られたものではない.今年から参加する同期が一気に増え,同じような考えを持つ人とも出会うことができた.これは今後の研究人生にずっと関わっていく出会いだと思っている.同期だけでなく,多くの先輩とも親しくなることができた.これからの気象イベントが一層楽しみになってきた.


9月6-7日 熱帯気象研究集会2011@京都
http://www-clim.kugi.kyoto-u.ac.jp/shige/tropical_met2011/

以前からずっと参加したいと思っていた研究集会.だが,夏の学校の疲れ(主に寝不足・二日酔い)が溜まっていたせいか,初日はあまり話が頭に入ってこなかった,というのが本当のところである.ポスターセッションでビールを飲んで少し回復したんではないかと錯覚を覚えるほどであった.小さなカプセルホテルで十分寝たので,二日目には復活した.そして,ポスター発表で申し込んでおくべきだったと後悔が始まるも,後の祭り.

学会の内容としては,非常に面白かった.熱帯に詳しい方々が熱心に議論する光景だけでも,私にとっては重要なものであった.何が今の熱帯では盛んに研究されているのか?何が熱帯気象の「常識」なのか?"nontraditional" Coriolis項に注目している研究者はいるのか?色々考えながら見ていた.

全体的にレーダーの話や降水の話が多かっただろうか.大規模運動や成層圏の話もあったが,学会が終わった後は,レーダーによる観測データってどんなに使えるのか?ということを一番考えていたかもしれない.研究室で使っている人がいないので,利用方法が見つかったら積極的に取り入れたいと思う.

また,ここでも人との出会いが嬉しかった.今までは熱帯を専門とする先生と知り合う機会は少なかった.学生と積極的に交流してくださる方々を除いては話すきっかけがなかなか無かった.今回は全員熱帯のプロ.昼ごはんを食べながら話せたし,ビール飲みながら話せたし,これらすべて私にとっては良い経験であり,良い出会いだ.



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最近思うことといえば,研究に関することは重要なのは当然だが,
人との出会いに感動することが多いということ.
様々な場で積極的に出会い,それぞれのつながりを大切にしていければいいな.



それはそうとして,早く論文書き上げて次の課題にとりかからなければとの焦りが私の心の大部分を占めているのは事実.完成させて,つぎのステップへ.これから韓国での学会があるし,コロキウム発表もあるし,できればAMS主催の学会にも申し込みたいし,とにかく時間はない.なんでも集中してがんばろう.

2011年7月28日木曜日

Landu and Maloney 2011を読んでみたが,なんだかな

JMSJとパラ見していて見つけた論文,

Landu, K. and E. D. Maloney, 2011: Effect of SST Distribution and Radiative Feedbacks on the Simulation of Intraseasonal Variability in an Aquaplanet GCM., J. Meteor. Soc. Japan, 89, 195-210.

と,それに関連した論文

Maloney, E. D., A. H. Sobel and W. M. Hannah, 2010: Intraseasonal Variability in an Aquaplanet General Circulation Model., J. Adv. Model. Earth Syst., 2, Art. #5, 24 pp.

をひと通り読んだ.気になったのは,Maloney et al. (2010, hereafter M10)で,CAM3.1を用いてMadden-Julian Oscillation (hereafter MJO)の再現に成功したという雰囲気の文面があったから.

そもそもCAM3.1はプリミティブ方程式系を用いている.NICAMでMJOの再現に成功したのは非静力学モデルにして計算したからだと思い込んでいた私にとっては信じがたい論文であった.だからかなり疑いながら読むことにした.

Landu and Maloney 2011(hereafter LM11)はM10を元に拡張させた論文だったので,まずはM10を読んだ.この論文で新しいポイントとしては,

1.赤道付近を除き,南北SST勾配を現実的な値の四分の一にした.

という一点だろう.「なんで1/4??」という疑問は消えない.まぁ,感度実験なんてそんなもんだと言い聞かせて読み進める.

行った実験は3タイプ.与えるSSTを変えて,それによる応答を調べている.
1.現実的SST
2.帯状対称SST
3.1/4SST勾配

ざっくり結果の印象を述べるなら,
1.MJOっぽいのはできたが,降水の分散は赤道を挟んで2つのピークを持つ.帯状風は高周波をかなり含んでいる.降水については帯状波数が1~2より大きいところにもピークを持つ.
2.MJO的でない.
3.赤道より南に強い降水の分散ピークを持つ.東西風偏差も強いため,線形的なWISHEではないが,非線形なWISHEが東進を遅くするのに効いているかも.観測で見られる周波数にかなり近い.

といった感じか.要するに,
「1/4SST勾配の実験が最もよくMJOを再現できた.ただし,その強度が大きすぎるし,湿度偏差の傾いた鉛直構造は再現されていない.」

ここで,1/4SST勾配と言われても騙されているとしか思えない…という疑問が当然生じる.それについてはConclusions and Discussionで考察されている.1/4SST勾配がどういう状況かというと…
1.中緯度からの傾圧性の影響を取り除いた.
2.赤道以外の熱帯域が通常より高温となっている.
とか.1.からは中緯度との相互作用がMJOを作っている可能性を除外して,2.からは不安定性を増強する結果となったとしている.

MJOの再現というよりも,むしろMJOが不安定化させる原因を,かなり特別な条件を作ることで探した論文と考えれば納得できそう.そういうことにしてLM11にとりかかる.

だいたい言っていることは同じだが,新しく取り入れた実験は

1.降水偏差による長波加熱偏差を取り除いた実験(Fixed RADiation; FRAD)

である.目的は,雲放射と湿潤放射のMJOにおけるfeedbackの影響を理解すること.その他には,M10と同様な

2.1/4SST勾配,帯状非対称実験(QMZA)
3.1/4SST勾配,帯状対称実験(QMZS)
である.その結果,QMZAでなくて,振幅は約半分小さいが,FRADでもMJOを再現できた.

FRADでうまくMJOを再現できたことから,放射偏差の強まりや弱まりは位相速度に影響を与えないことがわかった.FRADとQMZAで遅い東進速度が再現されたのは,平均帯状風によって降水の西側で比湿収束が大きいことによる.したがって,帯状非対称での平均帯状風が重要である.(ついでに,本実験で背の低い雲(浅い対流)が再現できていないことの理由も書いてあった.)

つまり,MJOを不安定化させるには,雲放射とwind-evaporation feedbackの両方が必要である.


雲の放射と非線形的なWISHEをうまく取り入れて,SSTを工夫して入れたらMJOがプリミティブ方程式系でも再現されるようだ.うーん…,まだしっくりこない.

こりから色々考察をふくらませて,最終的に新しいMJOメカニズムに迫ることが出来れば,面白い実験だと言えるだろう.納得できないのは,まだこれらの論文を私が理解できていないからというのが大きいかもしれないので,もう少し正確な理解に務める必要は当然ある.いくつか勉強すべきものも見つかった気がする.

1.非線形なWISHE
2.中緯度が赤道に与える影響
3.観測からわかるMJOとSSTとの関係

NICAMのデータも見てみたいな.観測データの解析で研究をしてみたい.でも,その前に論文投稿してしまわなくちゃ.早く書くよう注意されたので,それに集中しよう.

(注意: 内容が正しいかどうかはわかりません.)

2011年7月3日日曜日

失ってはいけないもの

新しい何かを得るためには,今まで持っていた何かを失うものなのだろうか.そうだとしたら,失うものと得るものの量は等しいのだろうか.



そんなことを考えていたら,なんだか苦しくなった.



ここ最近の話ではあるが,得るものがない割には失いつつあるものが多くある気がして,怖くなることがしばしばある.具体的な物ではないが,精神的に何かを失い続けている気がする.本当に何かわからないけど,そんな気がすごくする.



例えば,日々の楽しみ.趣味といえば,音楽や食事,旅行といったところだろう.昔は釣りやゲーム,サッカーなどのスポーツをしてたけど,今ではほとんどしていない.

ゲームはどうでもいいが,釣りとスポーツは時々無性にしたくなる.結局,いつもしないのだが.最近は旅行にも行っていないな.どこかに行くのは学会のついでの観光だけかな.まぁ,それはそれで楽しいけど,思いっきり旅行して新しい景色を堪能するような感覚は全くない.学会の場合は東京が多いから仕方ない.

時間の使い方を変えたいと思いアルバイトを辞めてから,外食を控えるようになった.飲み会は別だが,定食にお金を払うのがもったいないと思うようになり,自炊するのが定番になった.これはこれで良いことだと思うが,夕食時に研究室の人や友だちと話す機会が以前より減ったのは寂しいものだ.

音楽も,サークルを休止してから接する機会がめっきり減った.今日は久々に大音量で音楽を聴きまくった.心地良く感じた.しばらくの間,音楽に浸るという楽しみすら忘れかけていたのかもしれない.



他に打ち込むことができたから,それらを忘れている.そうなのかもしれないが,本当に忘れてしまうのはもったいない.


今打ち込んでいることは,間違いなく大学院での研究活動だ.これのために大学に入ったんだから,本気にならないわけがない.ただ,なんとなく最近はメリハリが悪くなってきて,効率が落ちている.単に研究が難しくて進まないだけかもしれない.

でも,壁がでかいというよりは,壁を乗り越えようとするパワーが小さくなっているように思えてならない.ガムシャラに立ち向かう気力が生み出せない.


どうしたものか.ガムシャラにパワーで乗り越えてくるほうが得意だと思っていたのに,何だこのザマは.こんなことで悩むとは思ってもいなかった.何が変わったのか.



楽しむことを忘れているのかも.



もっと楽しむことを見つけて,存分に楽しさを味わなきゃいけない.それがメリハリであり,それがパワーになる.そしたら苦しくてもガムシャラになれるのではないだろうか.


いま失いかけていたのは,たくさん持っているはずの「楽しむこと」だったのかも.夢を叶える作業と引換に忘れてしまうにはもったいないものだ.

そうだな….たまにはどこか遠くに行って,たまには音に埋れて,たまにはボールでも蹴るとしようか.それが今,必要なんだと思うから.

2011年5月23日月曜日

感じた嬉しさと見えてきた課題

2011年5月21日,気象学会春季大会にてポスター発表を行なった。感じたことをまとめてみる。


1.発表に興味をもっていただけた嬉しさ

まず,気象庁数値予報課の方をはじめとして多くの人が自分の研究テーマに興味をもってくれたことに驚きと嬉しさを覚えた。学会が始まるまでは自分の研究はマニアックで,力学が多少複雑なためにあまり多くの方が興味を示すとは思っていなかった。むしろ,ポスター発表してもあまり人が集まらないのではないかと不安ばかり募っていた。怖くて眠れず,夜中に五反田を徘徊するくらいだったし,僕としては最上級の緊張だと思う。

当日の朝ポスターを貼っても緊張は止まらず,いつものごとく手が痺れた。緊張するといつも手がしびれる。ポスター会場を後にし,口頭発表を聞きに会場へ向かった。やはり発表が頭に入ってこないので,一時間早いが10時半にはポスター会場に移動して一人頭の中で練習をした。それすら頭に入っていない気がしたが,ひたすら資料に目を通し続けた。先輩と会場前で会ったときに,「覇気がない顔だね」と指摘されて少し正常を取り戻した気はする。

少し疲れたので11時に自分のポスターの前に行ってみた。すると,もう人が3人ほど立っている。心の準備はできていなかったが,「説明いたしましょうか」と声をかけた。「はい」と言われた。この瞬間が気象学会デビューだった。とにかく練習した通りに話し始め,相手が理解できているかを確かめながら結果,考察へと進んだ。完全とは言えないかもしれないが,相手の方が自分の研究について理解してくれて,最後に面白い研究だとコメントしてくれた。終えたときには11時半を回っており,気が付けば会場は人で溢れていた。僕の周りにも人が増えていた。最初の方々が去ったあと,「説明してもらえませんか」と言われた。僕は「はい」と言った。これを4回くらい繰り返したのだろうか。3回目を終えた頃にはA4サイズのミニポスターは全てなくなってしまった。次回は30枚準備しよう。

人が途絶えることなくあっという間に13時を回った。本来なら12時半までのポスター発表で時間をオーバーするまで話し続けることができたことを嬉しく思う。最後に卒業した先輩とその友達が説明を求めてくれた。昼ご飯は諦めた。

後で聞いた話だが,ポスターを聞きに来てくれた方々の中には気象庁のメソモデルを作った方や,気象庁で働いている先輩の上司の方,僕が注目しているテーマに関連する研究をこれまでしてきた方などがいらしたらしい。嬉しい限りだが,その時に知っていればなお良かった。次回からは名刺をつくるかどうかして,お互いに名前を確認するような流れを作ろうと思う。

発表を聞いてくれたたくさんの方々のためにも今後も精一杯努力して,論文投稿や研究発表をしていきたい。



2.自分の理解度の未熟さ

人がたくさん来てくれたら,その分たくさんの質問やアドバイスが流れ込んでくる。自身の研究に対する質問はある程度答えることができたが,最も多かった質問「方程式を解いているときの設定」にはうまく対応できなかった。時間発展問題ではなく,今のところは変数全てに波型を与えて解いている。これでは初めて聞く人にとっては理解できないのだろう。確かにこの手の問題は通例時間発展問題として解くことが多い。だから聞き手は時間発展問題であると思い込んで話を聞いているのかもしれない。あまり波型の話は説明していないのだから,このような人たちは思い込んだまま結果へ移るだろう。そうすると一気に「関係の無い疑問」が生まれ出して,最後には説明についてこなくなる。なので,今後発表するときは問題設定をいかに強調しながら簡潔に説明できるかにも力を入れようと思う。

いただいたアドバイスもたくさんあるが,理解できずにあまり覚えれなかったものがいくらかある。特に,「不安定」という言葉が出てくると全くまともな答えができていない。時間発展問題ではないから不安定にはならないと思うとか,波型が実数だから成長率とは関係ないとか,ある意味適当に流していた。不安定について勉強を始めなければ

ひとつ気になる質問があった。それは「non-traditionalコリオリ項が圧力の位相をずらす効果を持っているといったが,それは実際的にはどういう状況なのか」といった内容だった。彼女はしきりにメモを取りながら聞いていたので,彼女にとってすごく重要な質問だったのだろう。順圧的構造が傾圧的構造になるのだから,物理的に意味があるはずなのだが,はっきりと答えれなかった。明日からはこの点を深く勉強しなくてはならない。今後の課題が見つかったのは良い収穫だ。



3.モチベーション増大

発表を通じて早く論文に出す必要性を感じた。論文にすることで興味を持つ人たちが読んでくれる。より深く理解してもらえたら,より発展的な議論をすることができる。早速今週中には構成を決定して,日本語で書きはじめよう。余談だが,飲み会でタイトルを「true or false?」のように「or」を使って書いたら面白いというアイディアをいただいた。大変面白いが,今回は避けることにしようと思う。

発表以外でもモチベーションが上がったきっかけはある。ほかの人の発表を聞いていて,以前と着眼点が変わったのに気づいた。自分の研究と関わりがあるものを自然と求めて(しまって)いる。今回の学会中にいくつか自分の研究が活かせそうな研究があった気がする。そういったところにも注意しながら研究の意義を増やしていきたい。自分の研究の結果を元にほかの研究者と議論できるようになりたい。




他にも感じたことはたくさんあるが,やはり研究を知ってもらえたことが一番嬉しかったことだ。今後も新しいことを見つけて,どんどん積極的に公表・議論していこう。

2011年5月14日土曜日

人を楽しませるプレゼンをしなければ

自分の発表を聞きに来てくれる人がいるなら,全力でその人に伝えなくてはならない。ただ淡々と伝えるのではなく,相手を楽しませて引き込まなくてはならない。


そのためにはどうしたら良いのだろう?



気象学会春季大会を控えた最後の週末。今回の学会は私にとって初めての全国規模の発表である。ポスター発表で参加するのだが,やはり不安なのは発表を聞きに来てもらえるかというところだ。

以前,学会の聴講に行った際にポスター発表を聞いてくれと必死に足止めされたことがある。それぐらいのガッツは必要かもしれないが,出来ることなら人が集まるような雰囲気を作り出したい。



何が必要だろうか。



最も大切なのは,やはりポスターの第一印象だろう。わかりにくそうで楽しそうに見えないポスターでは人は集まらない。

では,どうしたら印象の良いポスターに仕上がるか?ぱっと見たときに何を調べて何がわかり,その結果がその分野にどんな影響を与えるかがわかれば,興味がある人は集まるのではないだろうか?じっくり見なければ何を書いているのかわからないポスターではせっかくのチャンスを捨ててしまいかねない。

なので,結論は目立つ場所に簡潔に書き,重要性をアピールできる文章となるよう努力しよう。



第一印象だけでは聞いていて飽きて帰ってしまう可能性がある。内容が伴わなければ意味がないのは当然だ。研究の結果を出すのが大事なのは分かっているが,「不運にも」インパクトのある結果ではないこともある。

その場合はどうしたらよいか?

出来ることはただひとつ。話し方を意識して重要性を引き立てるしかない。そのための道具として見やすい図や簡潔なまとめ方も必要となる。できる限界までポスターを美しくし,あとは話すときに相手の理解を確かめながら順序よく説明するのが良いだろう。相手が理解してくれて初めて相手は聞き手として楽しめる。したがって,決してポスターが完成して安心してはならず,説明の練習も必須である。これが無くてはせっかくのポスターも台無しである。

「いかに自分が出した結果に意味があるのか」を伝えるための努力を惜しんではいけない。



あとは本番,清潔感のある身なりでポスターの前に立っておくことだ。それと,自分が楽しそうに発表することも重要なポイントだろう。感情のない発表は退屈だ。


ポスターと自身の第一印象を引き上げて,しっかりとした説明で自分の研究の重要性をアピールし,相手に楽しんでもらおう。

2011年4月11日月曜日

人に伝えること

縁あって,4月9日に気象予報士会を見学してきた。

気象予報士会とは,気象予報士の資格を持った方が集まって,自己紹介・ディスカッションなどをする会。今回の会場は福岡市のテレビ局,RKB。熊本や福岡,山口の方が多かった。テレビ局に入るのも初めてのことだったので,すべてが新鮮だった。アナウンサー疑似体験までさせてもらえるとは思ってもいなかったな。



今回参加したことで,一般の人に気象学を伝えることについて具体的に考えるようになった。



気象予報士会に集まる人々の大部分が気象と関係ない仕事を持つお父さんたち。気象予報士を取ったきっかけというのは,「宇宙や天気への興味」や「仕事に活かせる」など。中には「ボケ防止」という人も(おそらくジョーク)。


参加者の中にはテレビ局で活躍するアナウンサーの方も。

彼の話は面白い。なんで面白いのか?
漫才をしているわけではないし,僕が好きな大気力学の話をしているのでもないのに。



気象予報士として真面目な話をしつつも,だれでも知っていて共感できることを話の節々に盛り込んでいるから。これだろう。

季節の生き物や植物,言葉などを話題に上らせ,時には歌を唄いだしたり。表現力が非常に豊か。ただ面白おかしいのではなく,どこか知的だからまた説得力もある。

その知識は「誰でも知っている」と上では述べたが,その知識を人に伝える材料に昇華させるには多大な努力を要しただろう。彼の場合は「好きだから覚えた」といったところなのかもしれないが,そうだとしても敬意を表さずにはいられない。


それだけではない。ほかの人が発表するときにはまとまった意見も当然述べるし,もし他人が不快になるようなことを発表者がしゃべっているならその嫌悪感を濁すようにフォローする。このフォローがまた優しく思えた。お酒の席でも雑談の中に様々な知識を盛り込んで周囲の意識を集めている。



彼は僕が持っていないものをたくさん持っている。一般の人に気象を伝えることができるようになりたいというのは,以前から抱えている僕の目標の一つだ。その達成までの道のりは長いが,彼を見習って

1.暦や植物,動物と季節の関連に興味を持って覚える。
2.様々なシチュエーションでみんながわかるような気象の話をしてみる。

という具体的な目標をふたつ掲げておこう。

2011年4月3日日曜日

人と人の出会いは素晴らしき偶然

人と人が出会うのって,ものすごい偶然の繰り返しの上にある。
そう改めて考えるきっかけとなった。

4月2日土曜日,オクトーバーフェスト2010 in 福岡で知り合ったイギリス人・Nickに誘われてお花見へ。会場は舞鶴公園@福岡。

会場には僕にNickを紹介してくれた方Aがいた。彼Aはこんな話をしてくれた。

「君と僕Aが出会ったのって不思議だよね。偶然僕Aの知り合いBがオクトーバーフェストに君を誘ったから知り合えた。そもそも僕Aと彼女Bが知り合ったものすごい偶然で,不思議な出会いだった。もし僕Aと彼女Bが知り合ってなかったら,当然君と僕Aは知り合っていない。そしたら,君とNickも知り合っていなかったし,今日君のお友達とも知り合うことはなかっただろうね。」

僕とBが知り合ったのもすごい偶然だったんだから,それから出会う人とのつながりはさらにすごい偶然。もっと遡っていったら,全て奇跡としか言えない。



生まれた時から常に,誰でもたくさんの人と出会い続けている。直接的に自分の人生に影響を与えた人との出会い,あまり関わりがない(と思っているような)人との出会いなど,いろいろ。そんなたくさんの奇跡が今の自分を形成している。

全ての奇跡(出会い)に感謝しなくてはならない。

だからこそ,人との新たな出会いのチャンスを拒むことのないように生きていこう。